バッグ業界のトップブランド「ルイ・ヴィトン」の2002年の売上高は36億1千万ユーロ(約4500億円)。このうち日本での売り上げは36%に当たる13億ユーロ(約1620億円)で前年比115%(LVMH:2003年1月発表)。この伸びは昨年9月に原宿に直営店をオープンしたのが一番の要因であろう。 日本の売り上げシェアは全世界の3分の1という発表ではあるが、実際には並行輸入分や日本人が直接海外のヴィトンショップ等で買い込んできたものまで含めると、ヴィトンのシェアの半分近くが日本人顧客であろうと推測される。 このヴィトンを筆頭にエルメス、グッチ、プラダ等々相変わらず海外のスーパーブランドの人気と売り上げの推移は今だに好調である。
残念ながら日本にはこのようなインターナショナルなバッグのブランドはまだ存在しない。それを本気で志す企業(人物)さえ見当たらないのも悔しい限りである(Yカバンあたりが頑張ってくれないことには・・・)。 その要因のひとつには“ライセンスブランド商法”がこれまで日本のバッグ業界の主流であったことが考えられる(バッグ業界に限らずあらゆる業界もそうであったとも言えるが)。 “人気ブランドさえ付いていれば売れる”といった風潮が20世紀後半は全盛であった。百貨店のバッグ売場のメインにはライセンスブランドがオンパレードで並び、バイヤーは商品をセレクトするのではなく、ブランドをセレクトするのが仕事だった。 バッグ問屋は商品開発以前に新規ライセンスブランドの獲得競争に力を入れていた。一時は1ブランドのヒットだけでビルが建つと言われた時代もあった。他人の褌で商売が成り立ち、実に旨味のあるビジネスだった。 その商法だけで儲かったので自社ブランドを育てる必要はなかったのだ。しかし、ついに“ライセンスブランド商法”も終焉に向かいつつあるのは確かである。
売上高は10年で半減した!
以前はバッグ業界の売り上げランキングの上位にライセンスブランド商法の企業がズラリと並んでいた。しかし最近ではかなり順位を下げてきている。フットウエアプレスのバックナンバーで調べたところ、約10年前の1993年度のバッグ卸・メーカーの売上高ベスト50社中21社がライセンスブランドをメインした企業であったが、昨年2002年度では50社中13社と減少している。また、それらの売り上げを合算して比較してみると、2295億円から1115億円と半分以下に落ち込んでいる(倒産して消えたところも数社あるが・・・)。
やはり、現在、バッグ業界の中で一番苦しんでいるのは、かつてライセンスブランド商法で当ててきた企業ではないだろうか。 新規ブランドを獲得したくても、最近は新しいブランドもなかなか登場してこない。例え登場しても安易にライセンス提携せずその企業が自社製造販売する傾向にある。また、かつてライセンス提携をおこなってきた企業もブランドイメージを守るため中止するところが増えてきている。 また、消費者にとっても、ライセンスブランド商品とは二流、三流ブランドとしての基準になりつつあるのではないだろうか。人気も売り上げも年々下がっており、スーパーブランドとの明暗がさらに拡がってきていることからもそれが覗える。 某アパレル有名ブランドにはライセンス製造のバッグと自社開発のバッグがある(C××、B××、T××等)。前者は平場で販売され、後者は直営ショップで販売されている。もはや目の肥えた消費者にとってはどちらが本当に欲しい商品であるかは明白である。
生き残りのカギは「自社ブランド」の育成!
さて、今までライセンスブランドに頼ってきた企業も自社ブランド開発にやっとここにきて本気で取り組み始めている(まだ試行錯誤状態ではあるが・・・)。しかし、全然その気配のない企業も結構ある。先行き厳しくなると分かっていても、どうしてよいか分らずライセンスブランドしがみ付いているのかどうかは分らないが非常に要注意である。 確かに自社ブランド開発に着手することは冒険には違いない。開発には投資が不可欠であり、人材や仕掛けや時間やエネルギーが相当必要である。その根底には明確な企業理念やオリジナリティーのあるこだわりも必要であろう。そう簡単には行かないのは分かるが、これからの時代はそれにチャレンジしなければバッグ企業に明日はない。
最近では“ヘッドポーター”“サマンサタバサ”“ヘム”といったSPA型のバッグブランドが急に有名になった例もある(過去にも“サザビー”“キタムラ”“イビザ”等が一応の成功を収めている)。実際にかなりの収益を上げており、最近の売り上げランキングの上位に彗星の如くに登場してきている。特にサマンサタバサは3年間増収増益を続け、わずか3年間で年商13億円から55億円と驚異的な急伸を遂げている。本当に希なことではあると思われるかも知れないが、これらの企業のように「自社ブランドを有名にするんだ!」と志を立てて本気で取り組めば不可能ではないのである。
各企業がオリジナリティーのある自社ブランド構築に全力を上げなければいけない時代がもうとっくに来ているとハッキリ述べておきたい。頑張れ日本のバッグ業界!
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